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イントロダクションIntroduction

 かつて伝説となったキャバクラ嬢がいた—-。リアリティの衝撃と“悪のヒロイン”の圧倒的な魅力で30万部のヒットを放った立花胡桃の自伝的小説「ユダ」が、遂に映画化される。

 ある「裏切り」から自身の弱さを嫌悪した女子高生の絵里香。彼女は、欲望渦巻くキャバクラの世界に飛び込み、胡桃という名でのし上がっていく。No.1キャバクラ嬢として君臨してもなお、男達を操り、大金を稼ぎ続ける絵里香の心に潜む、誰にも見せられぬ怖れと孤独。ゴールの見えぬ野望に向かって走り続ける彼女が、たどり着いたところとは?

立花胡桃の原作をもとに、欲望渦巻く夜の世界を駆け抜けたひとりの女性の、自身をも焼き尽くすほどの野望と心の揺れをスタイリッシュな映像で鮮烈に描く映画『ユダ』。
そこには、強靭な野望が放つ魅力や、孤立を恐れぬ潔さや、自信のない女子高生が№1キャバクラ嬢へと上り詰めていく快感がある。だが同時に、彼女が抱える深い孤独や怖れも露わにする。本当の愛に突き進めぬ哀しみ、この場から降りてしまえば昔の弱い自分に戻ってしまうという誰にも見せられぬ怖れ、あふれんばかりの金への虚無感・・・。絢爛豪華な世界に身を置きながらも、欠落感を抱いてもがきながら明日を目指す、ひとりの女性の魂の軌跡は、恋や仕事に生きる現代の多くの女性達の共感を呼ぶに違いない。

映画『ユダ』は、キャバクラの世界の裏側を覗き見する興味も満たしてくれる。上り詰めるに従って洗練されていくファッションやメイクの変化、笑顔に隠した罠、男達を操るテクニック、ライバル同士の熾烈な戦い、裏切りと孤独、欲望と暴力。虚飾に満ちた華やかな“戦場”に生きる女の本音は、男達の心の闇をあぶり出す。

ひとりの女性の生きざまを女性目線で描いた映画『ユダ』を創り上げたのは、才能あふれる女性達自身。原作は、現在作家やコメンテーターなど多方面で活躍する立花胡桃。監督は本作で映画監督デビューを飾った大富いずみ。主演は、約3000人のオーディションを勝ち抜いて絵里香役を勝ち取った期待の女優・水崎綾女(『BUNGO ささやかな欲望』)。プロデューサー、キャスティングディレクター、撮影をはじめ、多くの女性スタッフが結集し、リアルで等身大の女性映画を生み出した。主題歌は本作のために情感豊かに書き下ろされたCrystal Kay「Memory Box」。
絵里香を巡る男達を、劇団EXILEの新進俳優・青柳翔、実力派・水橋研二、舞台の活躍もめざましい若手俳優・田島優成、個性派・板尾創路らが、ドラマティックに体現し、物語を支える。
映画『ユダ』。観る者は、絵里香と共に心の旅をして、本当の強さとは?幸せとは?と、明日の自分に問いかけることだろう。

ストーリーstory

 埼玉県郊外の街。女子高生の絵里香は、どん底にいた。彼氏の裏切りによって、心と額に深い傷を負ってしまったのだ。傷を理由にバイト先のファミレスから出勤を拒否された彼女には、お腹にいる彼氏の子を中絶する金の当てもない。みじめな絵里香を呼び止めたのは、キャバクラ「エルセーヌ」のマネージャー・新海だった。
2日後、大宮の繁華街。絵里香はエルセーヌに恐る恐る足を踏み入れた。笑顔で迎えた新海は、彼女に「瞳」という源氏名をつける。時給4000円のバイトが始まった。緊張の中、たった5日間で10万円を手にした絵梨香は、翌日、病院で中絶手術の麻酔から覚め、泣いていた。

絵里香は、過去と決別し、「信じること」をやめた。そして、エルセーヌで働く道を選ぶ。 “彼女いない歴35年”の屈折した会社員・名輪が、絵里香の最初の指名客となった。もじゃもじゃ頭の彼はベートーベンという密かなあだ名で絵里香のノートに記録された。客達はそれぞれに、孤独や欲望などという名の「心の穴」を持っていた。彼女は、彼らが願うままにその穴を満たしていく。平気で嘘もつけるようになった。
1年後、絵里香はエルセーヌで№1のキャバクラ嬢となっていた。だが、焦燥感から逃げられない。誰よりも深い自身の「心の穴」を埋めるべく芽生えた野望、それは、東洋一の歓楽街・歌舞伎町でのし上がることだった。

歌舞伎町でトップクラスの高級店エデン。絵里香は、「胡桃」という源氏名で華麗な戦場に飛び込んだ。№1キャストの美々や同僚たちのイジメに対抗しながら、わずか2ヶ月でNo.2に上り詰めるという、店の新記録を打ち立てる胡桃。だが欲しいのは№1の座だけ。
美々とのライバル関係は、熾烈を極めていく。だがある夜、泥酔した美々を男達の危害から救ったことから、ふたりには、危険な戦場に身を置く者同士の共感が芽生えていく。ひりひりする毎日の中で、美々は摂食障害、胡桃自身も買物依存症に苛まれていた。
ある夜、体調不良で欠勤した美々は、自身の最も重要な太客・冴木の接客を胡桃に頼む。足の引っ張り合いが常識のこの世界で、美々は胡桃を信用したのだった。
エデンのVIPルーム。事もなげに高価なロマネ・コンティをオーダーした冴木は、暗い欲望を秘めた目で胡桃をアフターに誘う。迷う胡桃だが、それが何を意味するかわかった上で、心を決めた。その夜、彼女は冴木のマニアックなセックスに身を任せる。
冴木は美々から胡桃へと乗り換えた。冴木と一緒に暮らす約束までしていた美々は、胡桃の裏切りに狂乱する。こうして胡桃は、惜しげもなく大金を使う冴木を客につけ、孤立と引き替えに№1の座を勝ち取った・・・。

胡桃は、彼女を手に入れるためには誰もが喜んで人生を投げ出すようなキャバクラ嬢となっていく。金ヅルでなくなれば、すがる冴木も捨てた。普通のサラリーマンに過ぎぬベートーベンには、胡桃にとって特別な存在だと信じ込ませ、借金を重ねさせて1千万もの金をつぎ込ませている。
そんな時、胡桃は金融界の若きカリスマ・大野と出会う。「何も信じない」と決めた心が、その出会いで揺れ始めた。「獲物」のはずの大野の素顔にどうしようもなく惹かれてしまう“絵里香”がいる。でも走り続けなければ、この場に居続けなければ、昔の弱い自分に戻ってしまう・・・。胡桃は、微笑みの下で誰にも見せられぬ恐怖と戦い続ける。

各店の№1を集めてオープンするという最高級店・歌舞伎町ドルシネア。胡桃は、その“顔”としてエデンから引き抜かれた。オープンの夜、称賛と嫉妬の視線を浴びながら、まるで世界を手にした女王のように、大野と腕を組んで出勤する華やかな胡桃がいた。

・・・そんな時、運命を揺るがす事件が起きる。果たして、欲望の街を走り続ける彼女がたどり着いたところとは?

プロダクションノートProduction note

クランクイン

映画『ユダ』は、2012年3月14日、埼玉県蕨市のレストランにてクランクインした。どん底状態の主人公、女子高生・絵里香に、キャバクラという未知の世界から声がかけられようとするシーン。絵里香を演じる水崎綾女は、約3000人の応募者によるオーディションを勝ち抜いて主役に選ばれた期待の女優。8年のキャリアを持つ彼女の、これが記念すべき初主演映画となる(*公開は『BUNGO ささやかな欲望』(12年9月29日公開)での主演が先)。大富監督が絵里香役に求めた、明るい中にもある種の “闇”を感じさせる稀有な魅力を買われた彼女は、「10kgダイエットすれば主演」という条件付の合格を現実のものにするべく、たった1ヶ月でそれをクリアし、トレードマークの長い黒髪も切って初日を迎えた。一方、監督の大富いずみもまた、本作で映画監督デビューを飾る。
「よーい、ハイ!」大富監督の凛とした掛け声が響く。間もなく大富は“こだわりの鉄人”という異名をとった。そして、水崎綾女もまた、“絵里香”という役にストイックに向き合い、監督の繊細なニュアンスを求める演出に応えていく。平均睡眠時間が3時間を切る過酷な大富組の撮影スタイルは、早くも撮影初日に出来上がった。

リアルなキャバクラ・シーン

物語の主要な舞台となるのは、3つのキャバクラ。絵里香がこの世界に足を踏み入れるきっかけとなった大宮の「エルセーヌ」。彼女が胡桃という源氏名で№1に上り詰めていく歌舞伎町「エデン」。そして、各店の№1が顔を揃える歌舞伎町の最高級店「ドルシネア」。
これらの店のシーンは、六本木の高級クラブや歌舞伎町のキャバクラ、あるいは大宮のオープン前のキャバクラ店内を借り切って撮影された。髪を盛り上げたセットに濃厚なメイク、高価なドレス・・・。本物のキャバクラ嬢達も俳優達に混じって華やかさを競う。「エデン」や「ドルシネア」のシーンでは、お客役や黒服役を含む総勢50名のエキストラも加わり、架空の恋と金という魔物を競い合う夜の世界がリアルに、煌びやかに、創り出されていった。

絵里香から胡桃へ

 映画『ユダ』には、絵里香が登場しないシーンはほとんどない。演じる水崎綾女は、誰よりも長く現場にい続け、この難役に挑戦した。“「絵里香」という女の子が演じる「キャバクラ嬢胡桃」”を演じるという難しさ。さらには、№1キャバクラ嬢の華やかさや強さのみならず、複雑な内面や深い孤独も繊細に表現しなければならない。セックスシーンや純愛にとまどうラブシーン、文字通りのバトルシーンも存在する。タイトなスケジュールの中で、絵里香と同じように、水崎もまた、笑顔の裏で、ある時は密かに嘔吐すらしつつ自身の極限に挑戦し、女優として飛躍を遂げていく。
映画『ユダ』は、少女が大人の女へと変貌して行く物語でもある。揺れ動く絵里香の心情に呼応するように、全編通して多用された手持ちカメラによる美しい映像が、その物語を描き出していった。

胡桃を巡る男達

胡桃を巡る男達は、みなドラマティックだ。絵里香をキャバクラの世界に導く男・新海、胡桃によって破滅する客・ベートーベン、金の力の明暗と欲望を体現する男・冴木、素顔の胡桃と恋に落ちる金融界の若きカリスマ・大野。
彼らを演じるのは、個性的な俳優達。人間味ある新海を静かに演じたのは、舞台の活躍もめざましい若手俳優・田島優成。
哀しくも狂気に満ちたベートーベンを体現したのは、実力派・水橋研二(「贖罪」(12:wowow))。
冴木を冷たく、切なく、コントラストのきいた演技で表現するのは、個性派・板尾創路。主演映画も待機するなど進境著しい劇団EXILEの青柳翔(『今日、恋をはじめます』、『渾身 KON-SHIN』)が、悲恋の相手・大野を、虚無感と優しさが同居する繊細な演技で魅せる。彼らの魅力もまた、物語を力強く支えている。